ゴッサム (ペンギンについて)

実はドラマハンニバルシーズン1を鑑賞する前に、ドラマゴッサムシーズン1を鑑賞していた。ドラマゴッサムでも人気のキャラクター、オズワルド・チェスターフィールド・コブルポットについて思うことがたくさんあるので、それを書こうと思う。ネタバレを含むかもしれないので、まだ見ていない方やこれから見る予定の方はお気をつけ下さい。










私は事前にゴッサムバットマンについて、調べていたので、ペンギンがいずれゴッサム犯罪界に君臨するということは知っていた。その先入観があるので、どれだけ殴られようと、どれだけ殺されかけようと『死なない』という安心感があり、あまりキリキリと胃を痛めるなんてことはなかった。
ペンギンの凄いところは何と言っても、自分を殺す役にジム・ゴードンを選んだところ。彼の人生の分岐点だし、かなりの賭け、大博打。この話は7話で語られるけれど、本当に凄いと思った。この大博打は大成功、無事生きてゴッサムにペンギンは戻ってくる。実はドラマゴッサム、私はこのペンギンが裏でファルコンと繋がっていたとわかる7話から抜群に面白さを感じ始めた。ヘマをして殴られ、殺されかけ、喚いている小悪党のような瘦せぎすの男が本当にゴッサム犯罪界の王になれるのか、当初は疑問を持っていたのだ。だが、あまりにあっけなく彼はゴッサムの王になった。なったというか、シーズン1の時点でファルコンは引退、マローニは死亡、フィッシュを海に突き落とし、順繰りに上がっていったに過ぎず、人望はない。ドラマゴッサムに限らず、バットマンなどにおけるペンギンというキャラは常に他人からの尊敬と人望が欲しいキャラクターである。また彼がそれを求める限り、絶対に得ることはできない。それはドラマゴッサムのペンギンにおいても例外ではない。この過剰な承認欲求はペンギンに課せられた呪いのようなものである。違う作品のペンギンにはこの過剰すぎる承認欲求と傘を持つことになった理由が語られているが、ゴッサムシーズン1ではまだ語られていない。ここまで性格が歪んだ理由と傘の関係は一連の流れだと思うので、今後私が楽しみにしているところだ。
ペンギン役のロビン・ロード・テイラーは、『ペンギンがこの世で信じているのは母親とゴードン刑事だけ。そういう風に演じた』と語っていた。この母親もクセのある性格で、一人息子のペンギンを溺愛し、盲目的に信じている。彼女はペンギンが行う非道で残虐な行為は全く感知しておらず、ペンギンもまた母親にそのことを見せまいと努力しているように感じた。かなり歪んだ親子関係だが、2人の間にある愛は本物である。父親は出てきていない。この共依存のような関係が彼を拗らせる1つの原因となったことは言うまでもなくわかる。そんな毒のような母親の愛だが、ペンギンの母親を思う純粋な気持ちは彼の良心でもあり、弱みだ。
ヒステリックで気に入らないとすぐに殺し、必死に低姿勢で頼み込んだと思えば、あっけなく裏切り、口が上手い。ファルコンはマローニに『ペンギンは王にはなれない。彼もそのことを理解している』と語っていた。唯一、ゴッサムシティでペンギンをコントロールすることが出来るのはたぶんファルコンだけ。そのファルコンは引退し、ゴッサムシティを去る。
大方の敵を蹴散らし、後釜に座った足の悪い瘦せぎすの男はどのように制御不可能なゴッサムシティをおさめていくのか、尊敬と人望を得たいと渇望する急ごしらえの王はどうやって成り上がるのか、シーズン2を楽しみにしたい。