雑記(昨今の映画宣伝について)

寒い日が続いたと思えば、突然昼間だけ暖かくなったりと、どうも落ちつかない天候が続いている。はっきりしない天気の日も多く、テレビを見ることと、ネットサーフィンが好きな私の母親は国家試験が近い私のためにR-1というヨーグルトのような飲み物を買ってきてくれていた。どうやら、インフルエンザに罹りにくくなるらしい。毎日一本ずつ飲んでいたのだが、風邪を引いた。私には効果はあまりなかったらしい。母親はまだ買い続けているが。
風邪は喉風邪で、しばらく声が出なかった。慣れないマスクに戸惑いながらも、少しばかり喉が楽になるし、風邪を他の人にうつすのも気がひけるのでつけている。ある日、マスクをつけていると、ヒモが切れてしまった。予備のマスクはカバンに入っていない。もう春休みに入るので、購買にもマスクは売っていなかった。私はしぶしぶ咳を抑えたり、タオルで口を覆いながら、その日は学校で勉強していた。
模擬試験の結果があまり芳しくない学生のために、先生たちは講義をしてくださる。毎回プリントを配り、30分から1時間ほど解いた後、答え合わせだ。私はだいたいいつも6割は超えているが、その日はどうしても6割に届かなかった。どの分野なのだ?とプリントをおさらいしていると、なんと自分が痛めていた喉に関係する呼吸器関連の問題であった。何だか、そんなところでも風邪に負けた気がして、必死でその分野を学習した。
勉強ばかりに根を詰めすぎると宜しくないので、帰り道は本を読んでいる。私は電子図書というものが出てから、それを利用しているのだが、久しぶりに紙の本を手に取った。昔、ヴィレッジバンガードにて半額になっていたので買ったホビットの冒険上下巻。映画は見た。おもしろかった。その感想はまた機会があれば書きたい。DVDも手元にある。瀬田貞二訳のものは古い言い回しが多く、少しばかり読みにくいが、それもまた面白い。とんまなんていう悪口は今の子供向けホビーアニメでも使わないだろう。一気に読み進め、今日から下巻に入った。
いつも電子図書を利用していると書いたが、正しくは青空文庫を利用している。寺田寅彦の映画雑記やら宮本百合子の映画論を読んだり、この前は伊丹万作の『映画界手近の問題』を読んだ。幾分昔のことなので、今の映画業界とは変わっているとは思うが、アーティストという名の下、奴隷のように働かされている役者、監督その他スタッフに関することが書いてあった。それについて、私は特に感想は持たなかった。今は改善されているだろう。
昨今の視聴者側から見た映画に関する問題といえば、日本の映画に対する宣伝方法だろう。関係のない芸能人を使用し、映画と関係のない質問をする記者たち。私は『公式に対して文句は言わない、批判はしない』という主義なので、特に思うことはない。どれだけひどい宣伝の仕方をしようと、私は見に行くし、例えば宣伝に人気のアイドルや芸人を使って、少しでも映画を見る人が増えれば良いと思う。吹き替えに不慣れな芸能人を起用することも特別嫌だなどとは思うことはない。
だが、大多数の映画好きはそうはいかない。好きであればこそ、きちんとした宣伝で、吹き替えは不慣れな芸能人ではなく、ベテランの声優を使ってほしいという気持ちになるものだ。
私がこの問題を見ていて思うことは、映画の宣伝は私のようなどんなひどい出来、宣伝であろうと映画館に足を運び、パンフレットを買う客をターゲットにはしていないということだ。つまりあの宣伝は少数の映画好きのために行っていない。大多数の映画を映画館に来てまで見ない人向けに行っているのだ。その人達に対してどうすれば足を運んでもらえるのか。それに重きを置かれているのだ。それにテレビでよく見る芸能人や自分が好きなアイドルが宣伝や吹き替え声優をしていると見たくなるのは自然の話だ。
だが正直な話、そんなことをしてもあまり変わらないと思う。根本的に映画を見る料金が高過ぎるのが問題なのである。私は映画に対して、いくらでも払えるのでどれだけ高くなろうと、映画館に足を運ぶが、あまり映画を見ない人はどうだろう。あまり興味もない映画に1800円も支払えるのだろうか。また、映画代だけなら良いが、遠い人はそこに電車賃やバス賃などもかかってくる。下手をすれば1度映画を見るためだけに3000円くらいかかる人もいると思う。そんな人が果たして何度も映画館に足を運ぶだろうか。そこまで値打ちがあると、あの宣伝の仕方で思わせることが出来るのだろうか。日本人はあまり映画を見ないと言われているが、絶対にこの高過ぎる料金体制のせいだ。しかも高い料金を払ってもあまり映画館には反映されていない現状もあるらしい。この料金体制について、私はまだ勉強不足なので、どうしても高い理由があるのかもしれない。いや、あると思いたい。
高い料金のせいで、身近にあるはずの映画というものがどこかお高い高尚な趣味のようにも思えてくる。それも日本人の映画離れを助長しているのではないだろうか。
敢えて、映画に対する宣伝の問題を書いたが、基本的な私のスタンスは『興味がないなら無理に見なくても良い』であるし、今の宣伝の仕方に激烈に怒っているとかそういうことではない。ただ、映画を見る人が少しでも増えれば良いというフワッとした気持ちである。
まだ、噂のオデッセイを見ていない。なんとか時間を作り、見に行きたいものである。