欲望のバージニア

昨日、GYAO!欲望のバージニアが無料配信していることを発見し、まだ未視聴だったのでこの機会に見てみることにした。ネタバレなどを含むかもしれないので、未視聴の方、これから見る予定の方は気をつけてください。











舞台は禁酒法時代のアメリカ・バージニアで、実際にあった話をベースにしてある。話の中心は密造酒を作っていたボンデュラント3兄弟の三男、ジャック・ボンデュラントだ。これはシャイア・ラブーフが演じている。
私は禁酒法時代のアメリカには疎く、ギャングたちが幅を利かせていたくらいの知識しかないが、この映画は楽しく見ることが出来た。視覚的な話をするが、登場人物はボロボロで穴の空いた帽子と草臥れたジャケット、カーディガンを着て、男性のほとんど全員が刈りあげという出で立ちである。髪型については、その時代特有のものなのかわからないが、衣装や建物の汚さ、古さは本当に1920年代のものかと思うくらいリアルに写った。出てくる車なんかもレトロでそういうところも楽しむことができる。
この映画は三男ジャック・ボンデュラントの成長譚と3兄弟の復讐劇だ。粗暴で暴力的な長男ハワード・ボンデュラントをジェイソン・クラーク、物静かで暴力的な次男フォレスト・ボンデュラントをトム・ハーディが演じている。実在のこのボンデュラント兄弟は現在の地元でも英雄視されるほど強く、不滅、不死身と呼ばれ、記念館まで建てられているらしい。話はこの3兄弟と新しく着任した特別補佐官のレイクスとの確執から始まる。レイクスはガイ・ピアースが演じている。このレイクスというキャラはかなり強烈で、ジャックを銃で滅多打ちにしたり、取引に応じず、挑発的な態度を取ったフォレストの喉を部下に引き裂かせたり、ジャックの親友のクリケットの首を折り死なせたりしていた。このクリケットデイン・デハーンが演じている。最期はボンデュラント兄弟相手に暴走し、味方の警察官たちにも見放され、ナイフで殺された。
あと見どころと言えば、そんなに出番は無いがギャングの頭領のゲイリー・オールドマンもハマリ役でトミーガンを街中で放つところはかっこよかった。ジェシカ・チャスティンやミア・ワシコウスカなんかも出ている。
こういう大変な時代を生きてきたボンデュラント兄弟だが、映画のラストでは劇的に死ぬわけでも、大成功を収めるわけでもなく、禁酒法時代の終わりと共に普通の市民へと戻っていった。兄弟全員結婚し、真っ当な職に就き、子供を作り、フォレストは肺炎で亡くなっている。(他の兄弟については特に描かれていなかった)
とても面白かった。私がレトロやノスタルジックなものが好きで、そういうものが沢山出てきたり、音楽が好みだったりするせいもあるが。
禁酒法時代の何が悪で何が正義かなんて誰も分からなかった時代をひたすらがむしゃらに走り続けた3兄弟の生き様が描かれている。当初は兄たちについて回るだけだったジャックがクリケットと共に密造酒の商売を始め、成功を収める様子やちょっとしたことがきっかけで大失敗をしたり、クリケットの敵討ちに行ったり。物語の最期でジャックは教会の牧師の娘バーサと結婚する。これはミア・ワシコウスカが演じている。先にも述べたが、これはジャックの成長譚である。虐げられていたジャックが一人で敵討ちに行ってしまうくらいまで成長する様子にはかなり興奮した。また私はシャイア・ラブーフの殴られたり、痛めつけられたりする演技は上手だと思うので、それもこの映画の魅力だと思う。
GYAO!は登録も無料で、この作品は期間限定で無料配信しているので見てみる価値はあるはずだ。